ミードという「知られていないお酒」
「ミード (Mead) 」は、日本ではお酒にかなり詳しい方以外ほとんど知られていません。西洋ではたびたび神話や歴史物語、詩にも登場してくる伝統的で神秘的なお酒です。洋酒輸入会社等が一部取り扱っているのみで、大きな銘酒店でもほとんど取り扱われていません。
蜂蜜と水と酵母菌を発酵させてできあがる「醸造酒」で、ワインや飲料アルコールに蜂蜜を溶かした「ハニー○○酒」とは異なります。アルコール度数はワイン並みで、すっきりした風味のドライタイプから濃厚な甘口、そしてシャンペンのようなスパークリングまでバラエティーに富んだテイストが楽しめます。見た目や風味も白ワインによく似ていますが、口の中に広がる味わいとその酔い方は全く別物と言って良いでしょう。贈答品はもちろん、結婚披露宴や記念日各種会合をはじめ、ホームパーティーにも最適な「ミード」。当協会は、蜂蜜からつくられたこの魅力的なお酒を全国の皆様に是非ご賞味頂き、新しい感動と出会える機会をご提供したく思っています。
ミードの壮大な歴史
ミードの歴史はワインやビールよりも古く、14000年以上前に人類が出会った「最古の酒」といわれています。
その出会いはほとんどハプニングだったのではないでしょうか? 喉の渇いた狩人が、ひっくり返って水の溜まったミツバチの巣を見つけ、その水を飲んだところ、味わったことのないおいしさとともに、とても気分が良くなったと言われています。
その製造工程は19世紀まで確立されませんでした。原理は分からないが、蜂蜜と水を合わせると知らぬ間に素晴らしい飲み物が出来る。まさしく神から授かった飲み物であったのです。
古代において蜂蜜はその防腐作用から、塩と並んで「再生をつかさどる神聖な物質」とされていました。様々な形で語られ、逸話やおとぎ話、詩などがたくさん残されています。
5000年以上前のインドでヒンドゥー聖典に登場しているのが記録として最も古いものです。プラトンの文献によると古代ギリシャ人にも親しまれていました。かのローマの英雄ジュリアス・シーザーも、ヨーロッパの海を席巻したバイキングも愛飲したと言われています。
ギリシャ神話におけるメデア(Medea)はサンスクリットのmedha(女性の知恵)を語源とし、「知恵の蜂蜜酒」(Mead of Medea)を意味します。北欧神話には薬効があるとされるハーブやスパイスを入れたメソグリン(Metheglin)という種類のミードがあります。薬を英語でMedicineと言いますが、この語源にも関わっていると考えられています。
ミードと結婚には親密な関係があります。
特にゲルマン人の習慣で、'Honeymoon' (ハネムーン・蜜月)とは、婚礼から1カ月の間、新婦がミードを造り、それを新郎と仲良く飲み、そしてその親族縁者が新婚カップルを祝うことを意味します。そうして、早く子宝に恵まれ、初めての子供は男の子であるようにとの祈りが込められていたとされます。
そのようなところからもミードは「ハネムーン」の語源になっています。